Greenroom -Diagram series Acrylic /H910 × W727 mm /2022.5
-Wabisabizm-
美しい芸術とはなにか。
僕は象徴たる破壊と再生の世界を想像した。
今まで数百もの作品に影響されてきたが、美しい景色に何度心を打たれてきただろう。
人間が作る芸術など、到底神の手には叶わない。
そんな世界でありながらも僕の作家人生において、日本の象徴たる美意識、侘び寂びの影響は凄まじく大きいものである。
侘びと錆びにそれぞれが独立した意味を持つため、総じて曖昧な捉え方にはなるが、多くの日本人は"それ"を共感することできるであろう。
わびとは物事面における不足や欠如、欠乏、不自由を肯定し、簡素で閑静を楽しむ。すなわち場所や道具に左右されぬ精神的なものを重視する考え。
さびは古くなる、色あせる、錆びる。という時間の流れによる劣化や生命力がなくなっていく様子を表し、その錆びゆく心さえ美と捉える考えである。
つまりは、閑寂ななかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさをいう。
そしてその美意識というものを、建築から学んだ僕にとって日本における『間』という価値観は、芸術家である前から絶対的なものとなりました。
間というのは実態がなく、それ故に捉えづらいものでありながら、さらには複数の意味を持つ。空間、間隔、余白、隙間、余韻、空白、時間。
次元の壁をも超えたこの思想は、日本人が日本人であるために、神から与えられた才であると信じています。
これらの具現性の無い緊張感を表現するには、物質や言葉、さらには意味すら削ぎ落とす必要がある。
色の持つ感情、洗礼された点と線と面、そして『間』のもつ要素のみで構成したWabisabismをここに提唱します。