今日も曇りのち曇り。
宇宙ゴミが空を閉じ込めてしまった世界。
そんな世界の救世主!! コントローラを手に取り、ゴーグルをつけて、
「1、2、3 !!」
宇宙を自在に飛び回る。
宇宙の掃除屋、Space Sweeperのお話。
「ママ!僕Space Sweeperになりたい!」
「子供は勉強するのがお仕事よ。」
「勉強はあまり好きじゃないんだ。それにゲームなら誰にも負けない。
きっと宇宙一のパイロットにだってなれるもん!」
「考えておくわ。今日はもう寝る時間よ。」
「ママはいつもそうだ。 」
キッドは部屋に閉じこもり、ゲームの途中で寝てしまいました。
『あれ、ここはどこだろう..??』
『わー!バケツ頭!なんだ君は!?』
『君こそなんだ!俺の名前はバケットベアだ!
こんなところで何をしてるんだ?
どこ所属のクルーだ? 』
『クルー? どういうこと? 』
『ここは宇宙のど真ん中! 今まさに大掃除の最中さ。』
『これが宇宙なのかぁ!地球はどこ??』
『あそこに見えるゴミの塊がそうさ。』
『そんなわけない!地球は青だって学校で習ったんだ。』
『それは昔の話だ。聞いたり教わったりした事が
必ずしもそうとは限らないだろう。』
『バケットベアは一体ここで何をしているの?』
『なにを隠そう、
俺はその青い星を取り戻すために宇宙を飛び回る
SpaceSweepersの一員さ! 』
『SpaceSweeperだって? ずっと憧れていたんだ。
本当にクールなお仕事だよ!』
『それは嬉しいな!これはとても大切な使命なんだ。
このまま太陽の光が届かなくなれば、
草木や花も育たなくなる。
それに、この大掃除には
もっと大切な意味があるんだよ。』
『楽しくてかっこいいだけじゃないの?』
『俺たちは太陽光を遮るゴミを排除して、
その資源をリサイクルするお掃除屋と思われているけど、
宇宙から届いていたのは太陽の光だけじゃなくて
星のカケラも降り注いでいるんだ。』
『星のカケラって何? 流れ星のこと?』
『君の命が生まれた日、
それは新たな星の誕生日でもあるんだ。』
『長い月日を受け継がれ、
その命はやがて星へと生まれ変わり、
大きな宇宙へと帰っていくのさ。』
『それがお掃除とどう関係あるの?』
『星のカケラはとても脆いんだ。
宇宙ゴミの増加が原因で、ほとんどがそのゴミに
衝突してチリになっちゃうんだ。
だから、地球に降りることができるのは
本当に僅かなんだ。
君と同じように星にも寿命がある。
だから僕らがゴミをそのままにしちゃうと
星の誕生が減り暗い未来になって しまうんだ。』
キッドは初めての宇宙と憧れのSpaceSweeperの本当の仕事の意味と使命を聞いて戸惑いを隠せなかった。そして、
さらにワクワクした。
『さぁ今日も大掃除に出かけよう!!』
『僕もいつかSpace Sweepersになって、
星のカケラを守るよ!』
『それは楽しみだな。
その時は俺の仲間たちを紹介するよ。』
『うん!でもママが許してくれるかな。』
『それはきっと君の気持ちの問題さ。
やりたい気持ちのその先を考えてごらんよ。』
『この綺麗な星と多くの人達を救いたいよ!』
『きっとママがそれを聞いたら喜んでくれるはず。』
『ありがとうバケットベア、
大切なことを教えてくれて!』
『教えたわけじゃないよ。
答えはいつだって君の宇宙にある。』
キッドは、初めての掃除を終えてクッタクタ。
宇宙船のベットに横になるといつの間にか、自分の部屋に戻っていた。
目が覚めたキッドは、手に残った感触を確かめると、それを大切に握りしめ、
もう一度眠りについたのだった。
これは宇宙にとって不要なゴミだが、キッドにとっては宝物となった。
ー答えはいつだって君の宇宙にある。ー